読書感想文

時は来た。それだけだ。

EQリーダーシップ

先日読んだ「マネージャーの教科書」にEQという概念が載っており、それについてまとめられた本を1冊借りて読んだ。マネージャーの教科書ではあくまで論文の一節という形で多くは語られておらず、もう少し掘り下げたいと感じたためだ。

リーダーの感情は伝染する

フキハラ(不機嫌ハラスメント)とかいうワードが昨年頃駆け巡ったと思う。EQを用いたリーダーシップにおいて、なぜそれが良くないのか?というのが神経解剖学的に語られている。リーダーシップの取り方には方法が色々あるが、バッドパターンとして挙げられるのはとにかく負の感情を撒き散らすことだ。良いパターンとして挙げられるのはやはり「共感」だが、日本的に考えると得てして共感は何も産まないと感じられやすい。「うんうん、そうだね。それは大変だよね」というような寄り添いだけで、生産性皆無に捉えられやすい。日本語的に考えると、共感ではなく「共鳴」と考えたほうが良いだろう。寄り添い、相手の立場になり、同調し、一緒に歩を進める。これこそがリーダーシップで必要な共感力だ。相手に寄り添うだけでなく、対話を通じて時には否定もして相手をポジティブな方向へ持っていき、最終的に共鳴をするというのがリーダーに求められる。

リーダーシップスタイル

そのために必要なスタイルとして以下が挙げられていた。

  • ビジョン型
  • コーチ型
  • 関係重視型
  • 民主型
  • ペースセッター型
  • 強制型

後半に記載されているものほど勧められない(かなり限定された状況下でのみ有効かつ、使うのが非常に難しい)リーダーシップスタイルだが、言語化されていて分かりやすい。また、それらのスタイルを行使するためにはEQを高めるというトレーニングが必要だが、良い方法としては自発型トレーニングが挙げられている。

EQのトレーニングプロセス

  1. 理想の自分を考える
  2. 現実の自分を考える
  3. 長所をどうやって伸ばし、短所をどうやって克服するか考える
  4. 試行錯誤と反復練習を行う
  5. 変化を支援する仲間を作る

とにかく地道な方法しかない。「自分探し」などと言うと安っぽいが、とにかく自分探しの旅にでること。これがEQを高めることに繋がり、リーダーシップスタイルの幅を広げることになる。

チームのEQを高める

個人のEQを高めた後にはチームのEQだ。とにかく感情的現実を顕にすることが重要で、そのためにはリーダーシップスタイルを数多く使いこなし、各メンバーのEQを高めることが必要になる。

 

最後の方は組織論に流れていったのでしっかり読まなかったが、日本でよく感覚的に言われるリーダーシップが理論立てて語られており、腹落ちする部分が多かった。良書。

 

 

 

マネジャーの教科書

ハーバード・ビジネス・レビューの管理職向け論文の良いものを集めた1冊。過去に読んでいた本の引用としてハーバード・ビジネス・レビューは頻繁に登場しており、図書館で何冊か取り寄せて読んだが、まず1冊が高いし読みたいと感じる記事も散らばっているので定期購読は厳しいと考えていたが、このような「切り抜き」的な1冊があるのは大変助かった。

その中でも現時点の自分が読むべき、少し先の自分が読み返すべき箇所は以下だ。

  1. 新任マネジャーはなぜつまずいてしまうのか
  2. メンバーを変えずにチームで変革を進める法
  3. 心の知能指数「EQ」のトレーニング法

1について。
特に自分は新任マネージャーというべき立場ではない(前職で経験していて、現職では改めて新任となる)が、振り返るという意味で読み進めた。この章では理想と現実のギャップについて触れられており、新任マネージャーが陥りやすい、いわゆる”かかっている”状態において冷静になれ、と伝える章である。

2について。
多くの日本企業では「昇進」という形でマネージャーに着任することが多い。つまり前任者から引き継ぐ形が大半で、プロスポーツチームのようにメンバーやコーチがコロコロと入れ替わる形ではないため、その中でどのように変革をするかについて触れられている。簡潔にまとめると、チームの現在地点を正確に把握し、どのような道を進むのかを決定し(協働なのか?個人主義か?)、最終的にどこへたどり着けば良いのかを決めることだ。

3について。
ここでは人という生モノというか、正解がないが不正解があるマネージャーという業務の中で、優れたマネージャーはどのような能力が高いのか?という疑問について触れられている箇所で、それはEQという Emotional Intelligence という数値を取り上げていた。何となく検索をしてみたが、間違っている情報が非常に多い。そもそも数値として測るのは困難なのだから、「こういうのが重要なんだな」くらいで捉えておくべきだろう。特に私は興味のないのにウンウンと話を聞くような「傾聴」や「共感」が苦手なのだが、EQとして必要な共感はそうではなかった。これを言われたら他人はどう感じるのか?という想像である。これは得意だ。この人はこういう立場なのだから、このような発言をされたらどう感じるんだろうか?と考えるのはよく行っている。これが共感力というのであれば意識し続けていきたい。

今のフェーズでは読んでも効果が薄い部分も多く、時期が経ったら改めて読み直したい本だと感じた。

 

 

ホワイトカラー消滅

どこかで話題になっていた1冊で、図書館で予約していたところようやく自分の番に回ってきた。

正直言って、ある程度先進的な企業で働いている/働いたことがある人間からすると、「今更こんなこと言ってるの?」という感想しか抱くことができない。

漫然とホワイトカラーで、DX(デジタルトランスフォーメーション)/CX(コーポレートトランスフォーメーション)についていけず、技能職では無い人間は淘汰されていくだろうという話。そして世の中の様々な仕事はAIに取って変わられる!という、もう食傷気味の論調である。

とはいえ、未だに多くの人々はこのような話を聞いたり読んだりすると目から鱗が落ちてしまうので話題になっていたんだろうなぁと察する。

ただ一方で核心めいたことが書いてあったのは見逃せない。

無能に近づく管理職にフィードバックされる若手社員達

上記で触れたような、昭和に浸かった、リスキリングとは程遠い、非生産的で漫然とホワイトカラーな人材も歳を経れば管理職になる。そうじゃない人間も管理職になることでそのようなことになっていき、無能へ近づく。

そのような中、日本で人事や教育に携わる部署の人間は表面的に先進的な企業の育成計画を真似してしまうことが多く、無闇に多いフィードバックを求める制度を敷くことになる。(360度フィードバックだとか、1on1だとか、よく聞くでしょう。)

そうするとどうなるかといえば、もっと本質的なフィードバックを受けるべき20代~30代半ばの人間が表層的で無意味な人事的フィードバックを受けることでキャリアに伸び悩むことになり、結果的に無能が無能が産むという負のスパイラルに陥っていく。

更に大コンプライアンス&大ハラスメント時代ということもあり、強めのフィードバックは勿論NGであり、そのような無能でも100時間残業すれば生産性を貫通した圧倒的アウトプットを出せるがそれも勿論NGである。

もはや日本はどう足掻いても上向きな成長曲線を描けない社会構造になっているのだが、この筆者は「ニッポン国の人間たちよ、今こそ立ち上がれい!」という熱い思いがあるので、何とか伝えようとしてくれている。

「今の自分って、他の会社で役に立つのかな?」と自問自答し、すぐに答えがでない人にこそ読んでほしい一冊である。

 

 

GRIT やり抜く力

西武ライオンズ、現ロサンゼルス・エンジェルスに所属している菊池雄星選手がこの本を勧めていた。彼もWBCで一躍有名になった栗山監督に勧められて読んだらしい。

この本はいわゆる自己啓発本であり、簡単にまとめると以下の内容だ。

自分にとって興味を持てること、社会的意義があること(大義があること)に向かって努力を続けられる人間こそが大成する。

本当にこれだけである。才能*努力=スキル、スキル*努力=達成という図式もあったが、本の前半に書いてあった。

読みながら思ったのは、「働き方」稲盛和夫著と同じ内容だなぁ、ということだった。稲盛氏の書いた本のほうがスピリチュアルな話が多く、読む人によっては「こんな昭和すぎる話を読んでも・・・」と毛嫌いしてしまうかもしれない。

どちらも新社会人など環境が変わって心機一転頑張ろう、となっている人に渡したい本だ。今更読んだところで新しく得られるものはなかったのでこの程度の感想だが気は引き締まった。

HIGH OUTPUT MANAGEMENT

前回読んだ本の参考文献に上がっており、調べたところ評判が良かったので読んでみた本。これ自体は1984年に出版されたもので、その後加筆修正などされて翻訳されたものが2017年に出ている。著者は当時絶頂であったIntelの社長で、その社長が直々にマネジメントについて書いたのが当書である。古いと思われるかもしれないが、現代マネジメントで行われていることがこの時点で既に実践されており、それを書いているので大変参考になった。

マネージャーとは"テコ作用"を利かせる機能である

日本におけるマネージャーは日頃の部下の勤怠管理を行い、毎年何度かの人事考課も行い、組織の中で問題が起きれば鎮火を行うというのが主となりがちだ。当然、何らかの決裁権も得ているので当然それに応じた判断というのも求められる。プレイングマネージャーが多い日本ではどうも軽視されがちだし、多くの企業で「人事」というのはフロント部門で弾き飛ばされた人々の集まりであることも多いのでまともに機能することも少ないために、「何が良いマネジメントなのか」というのを理解する場もないままマネージャーの仕事をやらされることが多い。

そんなマネージャーの仕事とは終始ミーティングや会食を行っており、一見かなり非生産的であるが時間の割き方としてはこれで実は正しい。ただ目的が非常に重要で、それは一言で言うならば「テコ作用を利かせる」というのが本書で書かれていることである。

可能な限り情報(社内外問わず)を収集し、判断基準や背中を押すための武器を取り揃え、部下のアウトプットに影響を与える行動を起こす=テコ作用を利かせるのがマネージャーの役割である。簡単な話だが、Aは得意だがBは不得意という部下がいれば、その逆の得意・不得意があるメンバーとの繋ぎをするということがそれにあたる。

また、日頃の生き様というのも大事な部分である。マネージャーが重要と思っている価値観を部下に共有することもテコ作用になる。よくある「背中で教える」というものだ。日頃から自分が大事にしていることについてのメッセージを発信し、行動で示していくのが大事だろう。

1on1の重要性

様々な場で散々説かれているが1on1の重要性についても触れられている。ただ、私もかつて受けた1on1のトレーニングでは、ここで書かれていることは一切教えられていない。相手の本心を聞き出すような方法論的なこと(アイスブレイクに始まり、問いかけや傾聴など・・・)ばかりで実践的なことは何も教えられなかった。

ここでは「具体的問題の解決」や、その後にある「テコ作用」に焦点があたっている。まず第一に1on1は「部下のための時間」であり、上司のための時間ではない。日本の多くの企業では人事から形式的な1on1を求められることが多く、何を求められているかといえば部下に対するアンケート等で「上司は定期的に1on1を行っているか?」などを聞かれるのであり、それは「上司のための時間」に他ならない。

例えばだが部下には「自分で処理しきれていない問題」をリストアップしてもらい、それに対する現在のアクションを書いてもらい、事前に送ってもらう。上司はそれを読み込んでから1on1の日を迎え、双方でアクションを決める。部下は上司に指示されたことを行うことを約束し、上司はテコ作用を利かせる(例えば部門間の調整など)ことを約束し、手元に残したメモをお互いに開示して認識を合わせる。このメモは保存しておき、次回の1on1ミーティング(このアクションが終わらせられるであろう頃に設定しておく)で、そのメモをベースに会話をするのである。

通常の組織全体ミーティングなどでは触れられない問題というのが絶対的にある。だからこそ1on1が必要になる。また、部下が問題について説明しきったあとでも、「もう一つ質問する」というのも大事だ(これは技術的な話だ)。理由は双方が問題の底まで達して腹落ちするかが大事だからだ。部下が気づいていない「なぜ解決できないのか?」を気づかせるのも上司の役目であり、1on1の機能である。

MBO(目標管理)のやり方

これも日本企業が苦手にしている部分だと感じていたが、明快に書かれていた。MBOはシンプルに考えるべきで、

  1. わたしはどこへ行きたいか?(その答えが目標)
  2. そこへ到達するためには自分のペースをどう決めるか?(その答えがマイルストーン

MBOは評価のためのものではなく、アウトプットのためのペースメーカーになる。例えば来月旅行に行くことを目標としたならば、マイルストーンは今月予約し、行くべき場所を決めるなどが挙げられる。いつ予約する、いつ行く場所を決める、というのは簡単にリストアップできる。

また、個々人のMBOとその上位のMBOが関連づいている必要がある。例えば上司のMBOが「アジア全体に工場を拡大する」なのであれば、部下は「タイに工場を作る」になる。何かの予想できない事柄が起こり、部下はタイではなくベトナムに作ったことであっても結果的に上司のMBOは達成されており、部下は評価される。日本では「ベトナムに作れたのは良かったけど、タイは作れなかったね」ということで考課で下げられることがある。そのようなことはあってはならない。

モチベーションの上げ方はスポーツにある

高いモチベーションにある状態は「個々人がベストを尽くしている」であり、それを目指すべきである。それはどのように達成できるかといえば競争だ。ゲームやスポーツの競争であればクリーンなイメージであるのに職場の競争というと途端にイメージが悪くなる。ダーティなイメージがあるからだ。別に相手を蹴落とす必要はない。競争相手は他社でなくてもよく、過去の自分でも良い。マリオカートタイムアタックを想像すると良いだろう。過去最高速を出した自分はゴーストとして写っている。それとの競争でも良い。そこを超えるためには「ベストを尽くす」しかない。もちろん他人との競争でもいい。

評価フィードバックとは

マネージャーにとって嫌な時間の一つ、人事評価がある。いつの時代も同じである。これに何を求めるかといえば、「部下の業績を改善すること」である。単に「あなたの評価はCだ。給料は上がらない。」とだけ伝えるような人間もいるだろう。最悪な上司だ。評価には理由が必要で、そしてどのようにすれば達成できたのかを双方納得するまで話さないといけない。評価内容に納得し、次はどのようにすれば評価が上がるのか理解しているのがベストだろう。

1冊を読み通して

かなり濃密な内容だったし、また自分が部下を持つことがあれば改めて読みたいと思った一冊だ。当時の自分に読み聞かせたい内容ばかりで、過去の部下には申し訳ない気持ちで一杯である。

 

 

1兆ドルコーチ

前職の上司達とプライベートで飲みに行ったとき、「初めてコーチングを受けた話」をしたところ、この本を紹介された。良い、悪いというよりは話題に出したときに「有名だよね」という行で、である。

現職ではチーム体制やマネジメントに大して疑念を持っていたのだが、これを読んだところで疑いが確信に変わり、自分の信念には誤りがなく、起こしていた行動については誤りがあったことも良くわかった。

会社のためになることを個人・チームで全力に取り組む

大きな会社や勢いに乗っている会社には利己的な人物が多く集まる。利己的な人物が上層部にいる場合、その人間に思いに共感する人々が集まることになり(自然に集まるわけではなく、集めてしまう)、結果的に利己的な組織になりがちだと感じている。

そうではなく、会社のビジョンを明確にして、個人としてもチームとしても目標をそこに見据えて、利他的になろうというのが大きな方針としてある。そうではない人間がチームにいれば会話をして方向性を合わせていき、そうではない場合は排除をする。それがマネージャーとしての役割だ。日本はこれが非常に難しく(労働者を保護する部分が強いので)、中々直接的な実行が行えないのが正直なところではある。良い組織というのは皆が自然にこういう思いを持ち、行動している。

マネージャーの役割

敬意を持ち、信頼し、意見を吸い上げて意思決定を促す。決まらない場合は自らが決定するというのもマネージャーの役割である。これが出来ていないマネージャーというのが非常に多く、全て出来ていない人もいれば一部分しか出来ていない人もいる。

特に何か問題が起きたときは相手に最初から説明させることがありがちだ。マネージャーの表面的な役割というのは組織で問題が起きたときに責任を持つことだからだ。その時は相手に説明をさせて解決のための指示をしてしまいがちだ。時間が惜しいからだ。そうではなく、質問を通して答えを得るべき(本質に迫るべき)というのが重要である。相手に敬意を持ってコミュニケーションを取り、双方信頼を得ていれば皆が真に思っている意見が出るはずで、それになにか障害が起きている=問題が起きたときは相手に説明をさせるのではなく(これは表面上の問題に対する説明になりがちでバイアスがかかっているような状態)、フラットな状態で質問を続けて本質に迫っていくべきという話である。

ここに通じるのは「指示をしない」ということの重要性であり、上記を通して"任せた"メンバーが考え抜いたことは優れた結論に至る、ということだ。よく表面上で"任せた"ということがある。組織上で部下になっているメンバーに大して仕事を任せた、というのはただの委託であり、本質的な意味では任せられていないことが多い。一度任せたらそれで終わりではなく、継続的にコミュニケーションを取り、何か問題が起きたら指示をするのではなく、自分の経験と照らし合わせたストーリーを語ってあげることで自己解決を促すべきだ。

また、信頼はしているからこそ問題の重さに対して任せているメンバーに荷が重すぎると判断した場合は組織の組み換えを行うべきで、マネージャーは常に「任せているメンバー(自分が敬意を持ち、信頼している)で解決可能なのか?」を考えるべきだ。

自己開示の重要性

信頼を得るためには自己開示が大事だ。ミーティングでは自ら身の上話(こんなことがあった、こんなことを考えている、など)を切り出すべきだ。専らどうでもいい話というのはすべきではなく、ある程度意味を持たせられる雑談をすべきだ。例えば「車を買った。こういう部分に魅力を感じて、この値段だから価値に見合ってると思って買った」など。雑談を通して人間性が見えてくる。どうでもいい雑談は「最近寒くて風邪ひきそうだよ、体調管理はしっかりしたいよね」など人柄は一切見えない、ごくごく当たり前の会話である。こんなのはアイスブレイクにもならない。

自己開示を通して相互理解を進め、お互いの価値観を一致させる(理解を示す)ことで会社の目標、チームの目標を達成させることがうまくいく。本ではアメリカ的価値観も多く、家族同士の付き合いというのも含まれていたが、これは日本では難しいだろう。個人的に食事やお酒を通して、「友人の友人」と仲良くなる、とかが良いかもしれない。

昇進とは押し出されるべき

人材が流動的な業界でよくあるが、役職が確約された状態での入社だ。最初から部長、課長などで入社してくる。これは肌感で「最悪の中途入社」だと思っていたが、やはりそうだった。リーダーは行動でその立場を勝ち取らないといけない。与えられた立場というのは反感を買いやすい。事情は分かるが、あくまでフラットな状態で入社をさせ、周りのメンバーからの意見を吸い上げて「この人なら付いていきたい」と思わせるのが先である。上層部が決めたリーダーなど意味がない。

日本の「360度評価」の意味の無さ

少し前に流行った360度評価というものがある。一般的な評価制度は、部下を上司が評価するというものだったが、その逆パターンでの評価だ。また、同僚からの評価というのも含まれる。

そもそも日本の評価制度(もしかすると海外も同様かもしれないが)は形骸的なものが非常に多く、浸透していないビジョンに照らし合わせての達成度であったり、利己的な考えを推奨するような目標設定になることが多い。

その中で同僚や部下からの評価を得ようとしたとき、「どのように評価すれば良いか?」の答えは「あなたが普段、思っていること書いてください」となる。これは日本では絶対に上手くいかない。忖度が生まれる。とにかく日本は間を取った評価が多い。アンケートを取ったとき、5段階にすると3にする人がとても多い。意見に責任を持ちたくないからだ。

本書では「職務でめざましい業績を挙げた」「同僚と効果的に協力し、所属チーム内でのメンバーの協力を促した」など、YES or NO で答えられるものになっている。同僚からの評価はこのようにすべきだし、そうすることでその人物の本当の評価が見えてくる。

本書を読み通して、現職を辞める決心がついてしまった。しかもその理由が仕事内容ではなく人事制度や上司の能力の低さというのだから悲しい。

 

 

30代から、どう働くか

今年でついに37歳を迎えることとなる。これまで比較的良好なキャリアを積み上げてきたと自負しており、同年代の中では一定の報酬を得ている部類に属していると考えている。しかし、40歳という節目を目前に控え、正直言って心の準備が出来ていない。果たしてこのまま進んで良いのか?特に2024年は、その不安を強く感じる一年だった。

そのような中、図書館を訪れた際、「入荷しました」の棚に置かれていた『30代から、どう働くか』という一冊が目に留まった。既に30代後半に差し掛かっているため、この書籍を読むのは遅すぎるし、自分の求める答えが記されているとは思えない…が、とはいえ考える契機となれば十分だろうと、ひとまず借りてみた。

強みを活かせ

本書では「強みを活かす」ことの重要性が説かれている。あの範馬勇次郎も言っている。「競うな 持ち味をイカせッッ」30代は弱みを補う暇はなく、強みを伸ばすべき。強みとは以下の通り。

  1. 努力せずとも、なぜかできること
  2. やることで活力が湧くこと(やること自体が好き)
  3. 実際に成果が出ていること(褒められたことがある)

これらが揃ったとき、それは「強み」となるとされている。この点について、過去に所属していた企業の社長がスピーチしていた「やりたくないと思う仕事を任されることがある。それはお前の適性だから伸ばすべきだ」という言葉を思い出した。本書では「活力を得られること」も条件に加えられているが、ここでいう活力とは、必ずしも楽しさや喜びを意味するものではない。たとえば、「楽しくはないが周囲に喜ばれることで間接的にやりがいを感じる」ような状況も該当すると解釈できる。

この本は鵜呑みにしてはいけない

全体を通読した結果、本書の内容をそのまま受け入れることには慎重さが求められると感じた。結論を要約するならば、「複雑に考えず、収入を増やすために行動せよ」という主張である。しかし、本書は成功者の事例を中心に記述されており、それらの成功の背後に存在する失敗やリスクについてはほとんど触れられていない。また、提示されている成功者の事例は、現実を切り取った一側面に過ぎず、恣意的に選別された可能性がある。

例えば、自身の経験からも起業して成功を収めた人々の多くは「裕福な家庭環境」に支えられていることが少なくない。無収入の期間を耐えうる経済基盤や、親族や経営者とのネットワークを持つことが成功の一因となっているケースが目立つ。このような背景を考慮すれば、本書の内容は特定の条件を満たす人々に向けられたものであり、「一発逆転」を狙う人間に適したものではないという批評も頷ける。

以上の批判的視点を踏まえつつも、本書には有益な部分が存在すると感じた。特に、特定のトピックに絞って参考にすることで、ぼんやりと考えていた自分の「今年の目標」にも活かせそうだ。

私は幸運なことに経営者や起業家と接点を持つ機会も多くあり、勤務先でも副業が解禁されたタイミングである。「久々に飲みにいきましょう」の声がけ運動をスタートしてみようと思う。今年は副業で月数万円の収益を得ることを目指し、年末までに法人化の目途を立てたい。