有名な著書で、タイトルだけでも知っている人は多いはず。アドラー心理学を中心とした、哲学者と青年の対話形式の1冊になっている。セクションによって地続きかと思いきやそうでもないので、それぞれのセクションについての論旨と、それについて考えたことをまとめてみた。論旨だけの場合もあるが、それは「まぁそうだよね」だけで終わったから。
目的論
目的論とは、今自分が置かれている状況、すなわち結果というのは周囲の環境のような原因によって生まれているのではなく、現在の自分が設定している目的によって結果が生まれている。これはすなわち自分の経験によって何かが決定されるのではなく、得た経験にどのような意味を自分が与えるかによって自らを決定するということになる。
人は変われる
目的論を念頭に置いた時、人は変われることを前提に考えるべきで、その第一歩はその人自身が「知る」ことにある。答えを誰かに与えられるのではなく、自分で導き出すべきもので、大切なのは何を与えられているかではなくて、与えられているものをどう使うか。生き方は先天的に与えられているものではなく、自分で選んだものなのであって、だからこそ再び自分で選び直すことも可能だ。変わらないでいるのは、「変わらない」という決心を自分でしてしまっている。つまり勇気が足りていない。今の生き方をやめる決心ができていない。これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかには影響がない。
よくスポーツ選手が語られる時、「貧困な環境で育ったが反骨精神でトップスターまで上り詰めた」のように美談として語られるケースがある。一方、犯罪者が語られる時も「貧困な環境で育ち、犯罪に手を染めてしまった」のように語られるケースもある。前者は貧困という経験を、反骨精神や成長の物語として意味づけた。一方で後者は、同じような経験を、自分の行動を正当化する物語として意味づけたとも考えられる。経験そのものが人を決めるのではなく、その経験にどんな意味を与えるかが生き方に関わっている。
全ての悩みは対人関係から生まれる
直面せざるを得ない対人関係=人生のタスクであり、人生のタスクとは以下の通り。
- 仕事のタスク
- 役割・利害で結ばれる関係。共通の目的があり、合わなくても完遂できる
- 交友のタスク
- 役割や利害を伴わない、自発的な人間関係
- 愛のタスク
- 恋愛・家族など、最も距離が近く逃げ場のない関係
このタスクから理由をつけて逃げることを「人生の嘘」と呼ぶ。「嫌われたくない」という気持ちが強い人ほど、交友のタスクで踏み込めず、薄く広い関係に留まりやすい。仕事のタスクでも同じ事で、他者と協力して動くことができないのも「嫌われたくない」ということが根にある。過去どうであったか?未来はどうなってしまうのか?そこばかり見てしまうことで「いまここ」にスポットライトが当てられず、人生の嘘へと陥ってしまう。
課題の分離
自分の課題と他者の課題を分離する必要がある。対人のあらゆるトラブルは他人の課題に土足で踏み込むこと、自分の課題に土足で踏み込まれることだ。自分が思う最善を選んでいくしか無い。自分の選択について他者がどのような評価を下すかは他者の課題であって、自分ではどうにもできない。
かなり核心的な話で、結局トラブルの根源は他人の課題に土足で踏み込むことで生まれる。特に会社で生まれやすい。課題は人によって異なる。その課題をどう解決するかは本人が選ぶしか無く、それはその本人が思う最善を選ぶことでしか生まれない。この点で問題が起きる場合、対人関係を縦で捉えてしまっており、横で捉えていないことがある。縦で捉えるのは他人を自分より低く捉えるから。だからこそ介入してしまう。横の関係を築くための援助を勇気付けと呼ぶ。上司と部下という役割の違いはあっても、人格としては対等な横の関係で向き合う必要がある。上司の役割は、部下の課題を奪って代わりに解決することではなく、部下が自分の課題に向き合えるように援助することにある。その援助が勇気づけであり、褒める/叱るという上下からの評価とは異なる。
