読書感想文

時は来た。それだけだ。

UNIX という考え方

今やエンジニアでなくとも UNIX というものを触っていることが多いと思う。 AndroidmacOS の源流にあるのは UNIX だからだ。その UNIX がどういう思想のもとで使われているのかというのをハッカーの1人が書いた。

読みながらも、既に体に染み付いている内容が殆どだった。自分は触り始めたのは Windows 95 が最初ではあったが、本格的にコンピュータと向き合ったのは Debian GNU/Linux で、ここで UNIX の世界に初めて触れたのであった。そこで教えられた事がこの本には書いてある。初心に戻るのは良いことだし、内容も極めて重要だ。とはいえ新しい発見もあった。

人間は三つのシステムしか作れない

一つ、少数によって正しくはないが高性能で人々を刺激するシステム

二つ、一つ目を活用した大規模で人々を満足させるが遅いシステム

三つ、二つ目で痛い目を見た人々が作る最良のシステム

 

これは身に覚えがある。私が仕事をし始めたのはデジタルな世界で起こる変革期の何回目かだったとは思うが、この三段階のシステムを嫌というほど見てきた。

付け加えるならば、一つ目のシステムは非常に安価だ。安価ゆえに売上も拡大していくのだが、やがて二つ目のような状態になってくる。

ここで経営が立ち行かなくなることが多く、料金を上げながらも機能を増やし、遅くなっていく。(2022年に起こっているイーロン・マスクTwitter買収はこれに起因するものだと思う)

最後にはこれを反省して三つ目のシステムが出来上がり、世の中のデファクトになる。

 

この流れは今で言う DX にも通じるもので、人間は素晴らしいシステムに触れると「あれも、これも」とアイデアが生まれていく。素晴らしいアイデアもあれば、良くないものも当然ある。良くないものまで取り入れてしまうと二つ目のシステムになってしまうから、ここをどれだけストップさせて三つ目にいくかというのが重要だ。

 

本の前半部分で上記の内容が終わってしまったので、後半は随分と眠くなってしまった。ただ、リーダブルコードと同様に新米エンジニアにはぜひ一度読んでほしい本だと思う。